犬のシングルコート・ダブルコートの違いとは?それぞれの特徴やケア方法を解説【トリマー監修】

ワンちゃんのケア方法などを調べていると、「シングルコート」「ダブルコート」といった表現を目にしたことがあるかもしれません。これらは犬の被毛タイプを表す言葉で、それぞれに毛質の傾向や、ケア方法が異なります。愛犬の健康を保つためにも、この違いは覚えておきたいところです。

本記事では、シングルコートとダブルコートの違い、代表的な犬種、被毛タイプに合ったブラッシングや温度管理のポイントなどを、トリマー監修のもと分かりやすく解説します。

この記事の監修者:星野伊織さん

rimmingsalon OLIOLI オーナー兼トリマー。
専門学校卒業後、国内のサロン・動物病院で経験を積み、オーストラリアとハワイで海外のトリミング技術を学ぶ。
GREEN DOG東京ミッドタウン店勤務を経て、2017年にOLIOLIをオープン。「家族と愛犬がHAPPYでいられますように」をコンセプトに、早く・可愛く・負担の少ないトリミングを大切にしている。

「シングルコート」と「ダブルコート」の違い

ワンちゃんの被毛は、シングルコートとダブルコートの大きく2タイプに分けられます。
「愛犬がどちらのタイプなのかわからない」という場合は、毛の流れに逆らって優しく撫で、地肌に近い部分の毛質を観察してみましょう。

表面の毛の根元に、綿毛のようなふわふわとした短い毛が密集している場合は、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)をもつダブルコートの可能性が高いです。
一方、そのような下毛がほとんど見られない場合はシングルコートと考えられます。
ただし、シングルコートでも少量のアンダーコートを持つ場合や、パピーの時期は毛質が異なる場合があります。
正確に知りたい場合は、トリマーさんや獣医師に確認することをオススメします。

被毛が一層構造のシングルコート

シングルコートは被毛がほぼ一層構造で、保温性の高い下毛をもちません。そのため寒さに弱い傾向があり、室温の管理が重要です。
特徴は犬種によって異なります。プードルなどの長毛種は、人間の髪の毛のように毛が伸び続けるため、抜け毛は少ないですが定期的なトリミングが必要です。
一方、ミニチュア・ピンシャーなどの短毛種は、毛は伸び続けずカットは不要ですが、生え変わりのサイクルで短い毛が抜け落ちます。
どちらのタイプも、皮膚の健康を守るために日々のブラッシングやケアが大切です。

2回の換毛期があるダブルコート

ダブルコートの犬種は、表に見えているオーバーコート(上毛)と、肌に密着して生えているアンダーコート(下毛)の二層構造の被毛をもちます。
上毛は、直毛や硬い毛などワンちゃんの個性や特性が表れている部分で、汚れや紫外線などの環境刺激から皮膚を守る役割を果たしています。
一方、下毛は保温保湿に優れ、春と秋の年2回の換毛期に生え替わるのが大きな特徴です。
気温が高くなる夏前には涼しく過ごすために抜け落ち、秋になると冬の寒さから体を守るために生え替わります。
こういった構造から寒さには強いですが、熱がこもりやすく夏の暑さは苦手な傾向にあります。
ただし、室内飼育のワンちゃんは季節による気温差が少ないため、換毛期がはっきりせず、一年を通して抜け毛が見られることもあります。

【サイズ別】シングルコートの代表的な犬種とその傾向は?

シングルコートは換毛期がなく被毛が伸び続けること、そして寒さに弱い傾向がある点が特徴です。 ただし、すべてのシングルコートが同じ特徴をもっているわけではありません。体の大きさや犬種によって、毛質や寒さへの耐性にちがいが見られます。以下では、サイズ別に代表的な犬種を取り上げ、それぞれに共通する傾向についてまとめました。

毛質の種類が豊富!トリミングが楽しい小型犬

トイ・プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア

上記に挙げたワンちゃんは、抜け毛が少ないためお部屋が汚れにくく、飼育環境を清潔に保ちやすいのが特徴です。
その分、毛が絡まりやすいため日々のブラッシングや定期的なトリミングは欠かせませんが、カールや長毛など好みの毛質を生かしたカットで個性を出すなど、いろいろな楽しみがあります。
ただし、保温性の高い下毛を持たないシングルコートである上、体も小さく筋肉量も少ないため、特に寒さが苦手なワンちゃんが多いと言われます。冬場の温度管理には気を配ってあげましょう。

抜け毛が少なくて室内飼いに最適!シングルコートの中型犬

ウィペット、ミディアム・プードル、スタンダード・シュナウザー

日本で多く飼われている中型犬(柴犬など)は、換毛期に大量の毛が抜ける「ダブルコート」が主流ですが、ここで紹介するのは、抜け毛が比較的少ない「シングルコート」の犬種です。
特にプードルやシュナウザーの中型サイズは、トイサイズやミニチュアサイズと同様に「毛が抜け落ちにくい」という特性を持っており、掃除の手間が少ないのが最大の魅力。ウィペットのような短毛種も、毛の生え変わりが少ないため、衣服やソファへの毛の付着を最小限に抑えられます。 寒さにはやや弱いため、冬場は暖房の効いた室内で過ごさせてあげる必要がありますが、そのぶん「家の中で人と一緒に暮らす」ことに適した、清潔感のあるパートナーとなってくれるでしょう。

抜け毛を気にせず家で暮らせる大型犬

スタンダード・プードル、エアデール・テリア

「大型犬は飼いたいけれど、部屋中が毛だらけになるのは困る」という方に比較的相性が良いと言えるのがこの2犬種です。
シングルコート特有の毛質により、抜け毛が床に落ちにくいため、部屋や服が毛だらけになりにくいです。
そのぶん、定期的なカット(トリミング)やブラッシングでお手入れをする必要がありますが、掃除の手間やアレルギーへの懸念が少なく、大型犬ながら非常に清潔に室内で暮らすことができます。

【サイズ別】ダブルコートの代表的な犬種とその傾向は?

アンダーコートが豊かで、厚みのある被毛が魅力的なダブルコートのワンちゃん。オーバーコートは、長毛やスムース、短毛などさまざまなタイプがあり、その特性によってケアの仕方を変えることが大切です。ここではサイズ別に代表的な犬種を取り上げ、その傾向についてまとめました。

フワフワ、ツヤツヤ!上毛の種類が豊富な小型犬

ポメラニアン、パピヨン、チワワ、ミニチュア・ピンシャー

ふわふわとしたポメラニアンやパピヨン、なめらかな短毛のチワワ(スムース)やミニチュア・ピンシャーなど、被毛の個性が豊かなグループです。
毛質の違いはありますが、どの犬種も換毛期や日々の生え変わりで抜け毛は発生します。
特にポメラニアンは下毛が多いため、こまめなブラッシングが欠かせません。
また、小型犬は寒さが苦手なワンちゃんが多いため、冬場の保温には気をつけてあげましょう。

同じサイズでも毛質はさまざま!ルーツも個性も豊かな中型犬

ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギー・ペンブローグ、柴犬、ビーグル

牧羊犬や狩猟犬など、人間と共に野外で活動してきた歴史をもつ中型犬たち。
広い牧草地で牛や羊を追っていた犬種は「雨風を防ぐ厚い被毛」、茂みに入って獲物を追っていた犬種は「汚れにくい短毛」というように、その歴史や生まれた環境によって毛質は全く異なります。
同じ中型犬でも、毛の抜け方やブラッシングの頻度は大きく違うため、それぞれのルーツを知り、その子に合ったお手入れをしてあげましょう。

下毛が分厚く、寒さに強い大型犬

サモエド、ゴールデン・レトリーバー・ラブラドール・レトリーバー、シベリアン・ハスキー

寒冷地や冷たい水辺で暮らしてきたルーツを持つ、ダブルコートの大型犬たち。
冷気から身を守るために下毛の密度が非常に高く、寒さには強い一方で、日本の夏の蒸し暑さは大の苦手です。
短毛のラブラドールなども含め、人間が感じる以上に熱がこもりやすいため、徹底した温度管理が必要です。

同じ犬種でも被毛タイプが違うことがある

ダブルコートの犬種の多くは、環境への適応や役割に応じた品種改良の歴史をもちます。
その過程で、同じ犬種であっても毛質の異なるタイプが生まれました。
特に身近なのが、チワワやダックスフンドです。これらは「スムース(短毛)」と「ロング(長毛)」などのタイプが有名ですが、元々は厳しい気候に耐えるためや、愛玩犬としての改良など、それぞれ異なる背景でその毛質が定着しました。
見た目の可愛さだけでなく、タイプによって「寒さへの強さ」や「抜け毛の量」、「ブラシの種類」も変わってくるため、愛犬のタイプに合わせたケアを行いましょう。

おうちでのお手入れポイントを押さえよう

愛犬のお手入れは大切だとわかっていても、毎日続けるのは大変です。
とはいえ、後回しにしていると、気づかないうちに毛玉や皮膚トラブルが発生していることも。
そこで以下ではプロのトリマー監修のもと、それぞれの被毛タイプに向けて、自宅でのお手入れのコツやブラッシングの頻度、あると便利なケア用品についてまとめました。

【シングルコート】毎日のブラッシングが基本

特に摩擦がおこりやすい首輪周り、脇、内股、お腹は要注意。ただし、皮膚は刺激に弱いため、ブラッシングの際は毛を少しずつ分け、皮膚が動かないよう軽く押さえながらおこないましょう。

「シングルコートは換毛期がないからお手入れがラクだ」と言われることがありますが、実際は被毛が伸び続けるので絡まりやすく、ブラッシングが欠かせません。
表に見えている毛が滑らかだからといってケアを怠ると、気づかないうちに内側にできた毛玉が大きくなっていることもよくあります。

特に摩擦がおこりやすい首輪周り、脇、内股、お腹は要注意。ただし、皮膚は刺激に弱いため、ブラッシングの際は毛を少しずつ分け、皮膚が動かないよう軽く押さえながらおこないましょう。

毛玉を防ぐためのブラシ選びと頻度の目安

ブラシは、皮膚への刺激が少なく、根本までピンが届きやすいピンブラシを使うのがオススメ。
ただし、根本に毛玉がある、または密度が高いなどピンが届きにくい場合は、ソフトタイプのスリッカーブラシも併用して力を入れずにほぐします。これに加えて、顔まわりなど狭いところに使える小さめのスリッカーブラシとコーム、さらに冬場の静電気対策にブラッシングスプレーもあると便利です。

ブラッシングは毎日、あるいは少なくとも2日に1回が目安。
特に毛が絡みやすいビション・フリーゼやプードルは、3日放置すると脇や内股、耳の後ろに毛玉ができてしまいます。毎日数分のブラッシングを継続し、毛玉や皮膚トラブル防止につなげることが大切です。

日々のお手入れとサロンの両立が大切

シングルコートは月に1回トリミングサロンに通っていても、おうちでのケアが足りないと毛玉ができやすくなり、ブラッシングでほどくのが難しくなります。
そこで無理に毛玉を解消しようとブラシで毛を引っ張ったり、何度も同じ箇所をとかしたりすると皮膚を傷めてしまいます。
そのため、毎日優しいケアを継続することが何より大切。おうちでシャンプーするのもやり方によっては毛玉を増やしてしまうので、トリミングサロンにお願いするのが安心です。

【ダブルコート】通常期と換毛期でケアの仕方を変える

ダブルコートのワンちゃんのブラッシングは、通常期と換毛期でブラッシングに対する心構えを変えることが大切です。
通常期は抜け毛が少ないので、基本的なケアで十分です。
一方、換毛期は抜け毛を残さないことに加え、皮膚の変化を見逃さないよう意識することが大切。
本来抜け落ちるはずの下毛が上毛に絡んだまま夏を迎えると、蒸れやかゆみ、湿疹などにつながる可能性があります。

そのため、ブラッシングの際は毛の流れに沿って動かし、下毛を取り除くと同時に、皮膚に赤みや異変がないかチェックしましょう。
状況によっては、トリミングサロンの換毛ケアを利用するのも方法のひとつです。

下毛を取り残さないブラシ選びと頻度の目安

ダブルコートの上毛は、一定の長さになるとそれ以上は伸びません。そのため毛同士が絡まりにくく、通常期のブラッシングは週に2〜3回で十分。
ただし、換毛期は、抜け毛を取り除く必要があるため、毎日行いましょう。

換毛期のブラッシングは、まずスリッカーブラシで抜けた下毛を浮かせ、次にコームを通して抜け毛を取り除く、といった流れで行います。
このときコームが根元までスムーズに通るか確認しましょう。通らない場合は、再度毛をほぐし、下毛を取り残さないことが大切。
仕上げに獣毛ブラシを使えば、被毛に自然なツヤがでるのでオススメです。
なお、ポメラニアンやシェットランド・シープドッグのように毛の長いワンちゃんは刺激に弱いため、スリッカーブラシの代わりにピンブラシで代用しましょう。

サマーカットより抜け毛の除去を

夏の換毛期に暑さ対策として、毛を短く刈り込む「サマーカット」を選ぶケースがあります。
しかし、ポメラニアンや柴犬などの犬種は、被毛を短くすると毛質が変わったり、生え戻りが悪くなったりすることがあるので、基本的にはオススメできません。
だからといって換毛期のケアをおこたると、下毛が体に残ってしまい、蒸れや皮膚トラブルを招いてしまいます。
大切なのは、短く刈ることではなく、抜け毛を取り除くこと。おうちでのケアが負担に感じる場合は、トリミングサロンの換毛ケアを利用しましょう。

ワンちゃんが1年中快適に過ごせる室温管理とは?

「シングルコートは寒いのが苦手」「ダブルコートは暑さに弱い」といった傾向を知っていても、室内飼育の場合、実際にどれくらいの温度に設定すればよいのか悩むところです。
以下では、それぞれの被毛タイプ別で、環境づくりのポイントを紹介します。

シングルコートは床からの冷え対策が必須

シングルコートの場合、寒さの感じ方は人と大きく変わらないと言われています。
基本は、飼い主さんが暖かいと感じる室温を目安に、エアコンなどで調整してあげましょう。

ただし、ワンちゃんは床に近い位置で過ごすため、人間以上に足元からの冷気を受けやすくなります。
冬場は室温だけでなく、カーペットを敷いたり、床暖房(低温やけどに注意!)を活用したりして、底冷えを防ぐ工夫をしてあげることが大切です。

一方で、夏は被毛が少ない分、肌が紫外線の影響を受けやすいという一面も。お留守番の際は、直射日光が長時間当たらないようカーテンを閉めるなど、配慮を忘れないようにしましょう。

ダブルコートには暑さから逃れられる居場所をつくる

ダブルコートのワンちゃんに大切なのは、季節を問わず「体に熱がこもらない環境」を整えてあげることです。
夏にエアコンなどで涼しく保つのはもちろんですが、意外と注意が必要なのが冬場です。
良かれと思って暖房を効かせすぎると、厚い毛に覆われたワンちゃんは熱を発散できず、体調を崩してしまうことがあります。
そうならないために、ワンちゃん自身が暑さを感じたときに移動できる「逃げ場」を用意してあげましょう。
廊下など涼しい場所へのドアを開けておく、あえて冷感マットやひんやりする床面を残すなど、自分で体温調整ができる居場所をつくるのがポイントです。

また、冬場は空気が乾燥して脱水症状になりやすいため、水飲み場を複数箇所に置いたり、加湿器を使ったりして対策しましょう。

愛犬の「被毛タイプ」を理解して、その子に合ったケアと環境づくりをしよう

シングルコートの犬種は、毛が伸び続けるため絡まりやすく、こまめなブラッシングや定期的なトリミングが欠かせません。
一方、二層構造のダブルコートは、換毛期にしっかりとアンダーコート(下毛)を取り除き、被毛の通気性を保ってあげることが健康維持のポイントです。

また、生活環境もそれぞれの特徴に合わせた工夫が必要です。人が快適と感じる室温をベースにしつつ、寒がりなシングルコートには「床からの冷え対策」を、熱がこもりやすいダブルコートには「涼しい逃げ場」を用意してあげましょう。
愛犬の被毛タイプを正しく理解し、その子にぴったりのケアと環境を整えてあげましょう。

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