犬のシャンプーの頻度は?ワンちゃんの特徴別に回数の目安と正しい洗い方を解説【トリマー監修】

愛犬との暮らしの中で気になるのが、日々のお手入れ。特にシャンプーは「どれくらいの頻度で洗えばいいの?」「目や鼻に水が入ったらどうしよう」など、不安や疑問が付きものです。

さらに、犬種によって被毛の長さや毛質が異なるため、ケアの方法にも違いがあります。ワンちゃんだけでなく、飼い主さんにとっても負担が大きいシャンプーだからこそ、無理なく続けられるやり方を知っておきたいですよね。 そこで今回は、国内外のグルーミングコンテストで数々の受賞歴を持つトリマー・上杉由佳里さん監修のもと、ワンちゃんのシャンプー頻度の目安と正しい洗い方について詳しく解説します。

この記事の監修者:上杉 由佳里さん

Dog’s BARBER shop BEARDS 店長。
JKCトリマーA級。国内外のコンテストで受賞歴があり、プードルはトイからスタンダードまでさまざまなカットスタイルを得意としている。JKC優秀養成機関賞受賞校で10年間教員経験験あり。

そもそも犬はシャンプーする必要があるの?

おうちでワンちゃんをシャンプーするのは、なかなか大変なもの。「衛生や健康のために、定期的に洗わなくては」と義務感に駆られていませんか?
実は、犬の被毛や皮膚には汚れや外部刺激から身を守る役割があり、体質や暮らし方に合わせて自然にバランスが保たれるようになっています。そのため、健康なワンちゃんであれば、必ずしもシャンプーをしなくても問題はありません。
とはいえ、体の臭いや散歩後の汚れが気になるときは、もちろんシャンプーをしてOK。ただし、頻度にこだわりすぎて「今日は絶対洗わなきゃ」と肩に力が入ると、その緊張感がワンちゃんにも伝わり、シャンプー嫌いになってしまう可能性も。
グルーミングは飼い主さんと愛犬の大切なコミュニケーションなので、無理のない範囲で行うようにしましょう。以下で紹介する頻度はあくまで「参考」として、お互いが無理なく気持ち良く過ごせる方法を優先してくださいね。

一般的なシャンプー頻度の目安は月に1回~2回程度

一般的に古い角質が剥がれ落ちて新しい皮膚に生まれ変わるサイクルは、犬の場合、3週間といわれています。そのため、月に1回~2回程度シャンプーを目安にすると、ワンちゃんの皮膚を清潔に保ちやすいでしょう。
基本の頻度は季節が変わっても同じ。しかし、春は花粉、冬は静電気でホコリがつきやすいなど、時期によって汚れが気になるときもありますよね。
ついシャンプーの回数を増やしたくなるかもしれませんが、濡れタオルで都度体を拭くだけでも十分に除去できるので、ワンちゃんの皮膚状態に合わせてお手入れの方法を調整することが大切です。
また、シャンプーが苦手な愛犬を無理やり洗うのは避けたいところ。そんなときは、おしり周りや足先など汚れやすい箇所だけを軽く洗う“部分洗い”や、タオルでの拭き取りなど、負担の少ないケアを取り入れれば、飼い主さんにとっても、ワンちゃんにとってもストレスが少ないでしょう。
実際、おうちでは簡単なお手入れをこまめに続け、数カ月に一度サロンでしっかりシャンプーをするという方法を選ぶ飼い主さんも多いです。

【特徴別】犬のシャンプー頻度

ここからは、長毛種・短毛種・短頭種といったワンちゃんの特徴別に、シャンプー頻度の目安やお手入れのコツを紹介します。愛犬にぴったりのケアを知って、日々のグルーミングタイムを心地良い時間にしてあげましょう。

長毛種

長毛種の特徴:被毛が長く、絡まりやすい。毛が伸び続ける犬種の場合は、定期的なトリミングが必須。

犬種の具体例:プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、ミニチュア・シュナウザーなど

被毛がもつれやすく、毛玉もできやすい長毛種は、月に12回を目安にシャンプーをしてあげると◎。ただし、長い毛を丁寧に乾かすのはプロでも難しい作業なので、おうちでのシャンプーは汚れや臭いが気になったときだけでも良いかもしれません。

自宅で洗う場合は、事前に毛玉ができてないかを確認することが大切です。毛玉は濡れるとさらに固くなり、仕上げのブローができなくなったり、フェルト状になって切らざるを得なくなったりする可能性も。

毛玉ができている場合、ブラシでほぐすことができれば良いですが、毛が引っ張られるのを嫌がるようであればトリミングサロンや動物病院で対応してもらうようにしましょう。

子犬(パピー)の場合

パピーの場合、トイレトレーニングの際に排泄物で体が汚れてしまうことも多いので、都度洗って清潔にしてあげることが大切です。

また、短毛種に比べて比較的トリミングやシャンプー頻度が多くなる長毛種は、小さい頃から週1回くらいを目安に水に触れさせる、泡を乗せるなど慣らしをしておくと、サロンデビューのときも安心でしょう。

ただし、シャンプーに時間を要すると、冷えなどからパピーの体に負担がかかってしまう可能性も。そのため、一度で全身を洗おうとせずに、汚れた部分だけにする、数日に分けるといった工夫をしてください。

老犬(シニア犬)の場合

シニア犬は、おむつの中で排泄をするなど、成犬に比べて何かと体が汚れやすくなります。しかし、持病を抱えていている場合、シャンプーをすることが難しいケースもあるでしょう。

基本は体調が良いときだけお風呂に入れてあげるのがベストですが、汚れや臭いがどうしても気になる場合は、“部分洗い”や、濡れタオルで体をあたためながら拭く“タオル浴”がオススメです。

また、汚れやすいところだけ毛を短くすると、お手入れもグッと楽になりますよ。

短毛種

短毛種の特徴:皮膚を守ってくれる被毛が短く、肌が摩擦や乾燥で傷つきやすい。毛の生え変わる周期が短いため、抜け毛が多い傾向がある。

犬種の具体例:チワワ(スムース)、ダックスフンド(スムース)、柴犬、ミニチュア・ピンシャー、ビーグルなど

短毛種は、皮膚を保護してくれる被毛が短いため、長毛種に比べて摩擦や乾燥で肌が傷つきやすい傾向にあります。頻繁にシャンプーをして皮脂を取りすぎると、かえって肌トラブルの原因になる可能性もあるでしょう。

そのため、シャンプー頻度は多くても月に1~2回を目安にするのが◎。ワンちゃんの肌の様子を見ながら、適切な頻度を見つけるのがベストです。また、汚れ具合にもよりますが、なるべく皮脂を落としすぎない、刺激の少ないシャンプー剤を使うようにしましょう。

硬い毛質のワンちゃんの場合は、短い毛を強くこすりすぎると皮膚が傷ついてしまうことがあるため、毛並みに逆らわず優しくマッサージするように洗うのがポイント。過度な乾燥を防ぐために、シャンプー後はタオルドライで水気を取るだけでもOKです。

抜け毛や臭いが気になる場合は、濡れタオルで拭き取るだけでも十分きれいになるので、愛犬に合わせたお手入れをしてあげてくださいね。

子犬(パピー)の場合

基本的にトリミングは不要な短毛種ですが、将来的にシャンプーや爪切りなどをプロにお任せすることを考えているのであれば、おうちで少しずつ水や人の手に慣らしておくと安心です。その場合、月に12回よりも少し頻度を多めにしても良いでしょう。

ただし、トイレに失敗して排泄物が体に付いてしまったときは、汚れた部分のみで構わないので都度洗って清潔にしてあげることが大切です。嫌がる場合は、濡れタオルで拭くだけのケアに切り替えるのも一つの手ですよ。

シャンプーをする際はパピーの体の負担にならないよう、なるべく短時間で終えるのがポイントです。一度で全身を洗わずに、部位ごとに日に分けて洗うなどもオススメ。

老犬(シニア犬)の場合

短毛種は皮膚を保護してくれる被毛が短く、摩擦で地肌が傷つきやすいことから、年を取って寝たきりになると床ずれのリスクが高まります。

その際、「傷口を洗うついでにシャンプーも」と考えるかもしれませんが、全身のシャンプーは体に負担がかかるため、部分洗いや、濡れたタオルで体をあたためながら拭くタオル浴でケアするのがオススメです。

その日の体調や様子をよく観察しながら、ワンちゃんにとって一番負担の少ない方法を選んであげましょう。

短頭種

短頭種の特徴:頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが極端に短い、いわゆる「鼻ペチャ」犬種。顔周りのしわに汚れや皮脂がたまりやすい。

犬種の具体例シー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、パグ、ペキニーズ、ボストンテリアなど

短頭種のシャンプー頻度は月に1~2回が目安です。

ただし、鼻の奥に水が入りやすいつくりになっており、シャワーの水が鼻に入ると呼吸しづらくなってしまうので、顔は無理に洗わず、体の汚れた部分だけシャンプーをすると良いでしょう。

顔周りのお手入れは、日頃から濡らしたガーゼや柔らかい布でしわの間を優しく拭き取る習慣をつけると◎。臭いや肌トラブルが発生する前に、日々の“拭き取り”で清潔に保ってあげましょう。

子犬(パピー)の場合

パピーは、トイレトレーニングの際に排泄物が体に付いてしまうことも多いので、汚れたときは都度洗ってあげてください。

また、顔周りは柔らかい布やスポンジなどで汚れを拭き取るのが◎。ただし、鼻に水が入りやすいので、基本的にシャンプーはプロにお任せするのが安心です。

老犬(シニア犬)の場合

全身のシャンプーはシニア犬にとって体の負担になりかねません。加えて、鼻から水が入ると、呼吸がしづらくなってしまうことも。

また、短頭種は体温調節が苦手といわれ、浴室と室内の気温差すらも負担になってしまう可能性があるので、おうちでは汚れた箇所だけタオルで拭くなど部分的なケアにとどめましょう。

犬をシャンプーする方法

ワンちゃんのシャンプーは、短時間で、負担なく終えることが重要です。愛犬に嫌な思いをさせないよう、あらかじめ使う道具や段取りを整えてからはじめましょう。

準備する物

・ブラシ
・犬用シャンプー・リンス
・スポンジ
・洗面器
・タオル
・ドライヤー

手順

以下のSTEP15の順でシャンプーをしていきます。ワンちゃんの様子を見ながら、嫌がる素振りがあれば無理に洗うのは控えましょう。

STEP1:ブラッシングをする

あらかじめワンちゃんの全身をブラッシングして、被毛のもつれや抜け毛を取ります。
長毛種の場合は、毛玉がないかをしっかりチェック。毛玉は一度濡れると硬くなって解消するのが難しいです。自宅で毛玉をカットしようとすると、けがなどのトラブルに発展しやすいので、見つけた場合は自宅でのシャンプーは控えて、トリミングサロンや動物病院で相談しましょう。

STEP2:ゆっくり全身を濡らす

水温を37度前後に設定し、シャワーをお尻の方から少しずつ頭の方へ移動して全身を濡らします。
シャワーヘッドが肌に軽く触れるくらい近づけるようにすると、シャワーの音が軽減され、敏感なワンちゃんへのストレスも少なくなりますよ。

 STEP3:シャンプーを泡立て、体→顔の順で洗う

シャンプー剤は決められた分量もしくは少し薄めに希釈し、スポンジなどでつくったきめ細かい泡をたっぷりと洗面器に用意します。このとき市販の泡立てネットやポンプボトルを使うと、効率良く泡がつくれるのでオススメです。
できた泡をワンちゃんの体に均一に乗せたら、毛並みに沿って優しくなでるように洗っていきます。このとき、顔周りに泡があると目に流れて入ってしまう可能性があるので、体→顔の順で洗うのがポイント。顔周りも体と同様、泡を乗せて優しくなでるように洗っていきます。

STEP4:すすいで泡をしっかり落とす

シャンプーで全身を洗い終えたら、目周りからすすいでいきます。ワンちゃんがシャワーを嫌がるようであれば、顔周りはお湯を含めたスポンジで拭うのがオススメです。
体はシャワーの水流を利用して泡を押し流すイメージですすぎましょう。お腹の下側は、手にお湯をためるようにして泡を流すと◎。汚れを落とすためにはシャンプーよりもすすぎが大事なので、よく洗い流すことを意識してください。
最後にリンス剤をお湯で薄めて被毛になじませ、ぬめりがなくなるまでよくすすいでいきます。

STEP5:タオルドライのあと、ドライヤーで乾かす

シャンプー後はタオルで軽く水気を拭き取ってから、ドライヤーで乾かします。ワンちゃんは暑いのが苦手なので、ドライヤーの温度を低くし、20~30㎝ほど離した状態で、手早く終えるようにしましょう。

シャンプーをするときのポイントと注意点

ここからは、ワンちゃんをシャンプーするときのポイントと注意点を紹介します。

シャンプー剤の肌チェックをする

ワンちゃんをシャンプーする際は、犬用のシャンプー剤を使用するのが基本。ただし、物によっては愛犬に合わない場合もあるかもしれません。
そのため、シャンプー剤を初めて使用する際や新しいものに変えたときは、数日間肌の様子をチェックすることが大切です。
例えば、フケが出やすくなった、赤みがある、肌を頻繁にかくなどの症状がある場合は、使用を中止し、獣医師に相談しましょう。

顔周りは洗い方を工夫する

シャンプーで一番苦戦するのが顔周りという飼い主さんも多いのではないでしょうか。ワンちゃんに嫌な思いをさせないためにも、洗い方を工夫することが大切です。
例えば、目の周りを洗うときは、シャンプー剤を水でよく薄めるか、染みにくい顔周り専用のシャンプー剤を使うと刺激が抑えられます。最近はアイケア用のアイテムも充実しているので、いろいろ試してみるのもオススメです。
また、短頭種の場合は、鼻に水が入ると呼吸困難になってしまう可能性があるため要注意。愛犬が嫌がるときは無理に洗おうとせず、お湯で濡らしたガーゼやスポンジで拭き取るだけにしましょう。

浴室と外の気温差に注意する

ワンちゃんをシャンプーする際は、浴室とその外の気温差にも注意が必要です。
例えば、湿気と熱気がこもった浴室から、冷房の効いた部屋に移動して冷風で乾かすと、急激な温度変化が体の負担になってしまいます。そのため、お風呂から上がってすぐに気温差のある場所に移るのは控えましょう。
まずは、タオルドライをする時間を設け、浴室や脱衣所の室温とワンちゃんの体温を少しずつ下げると◎。ドライヤーの時間も短縮できて一石二鳥です。
また、冬場にあたたかい部屋から寒い浴室に移動する際は、浴室暖房をつける、浴槽にお湯をためて事前に室温を上げておくなどの工夫が大切ですよ。

リンスの代わりに保湿剤を使ってもOK

被毛をサラサラな状態でキープしたいなら、リンスが効果的です。ただし、肌の弱いワンちゃんの場合、リンス剤が肌に残っていると皮膚トラブルの原因になる可能性も。
心配な飼い主さんは、犬専用の保湿剤で代用してもOK。シャンプー後に地肌に塗り込むと、ドライヤーの熱からも守ってくれますよ。

犬をシャンプー嫌いにしないために飼い主さんが心掛けるべきこと

多くのワンちゃんは、そもそもシャンプーがあまり得意ではないでしょう。だからこそ、工夫して「嫌いにならないように」してあげることが大切。
ここからは、愛犬が安心してシャンプーに向き合えるよう、飼い主さんが心掛けると良いことを紹介します。

不快感を示すサインを見逃さない

シャンプーが好きではないワンちゃんも、すべての工程が嫌いというわけではないはず。だからこそ、愛犬の様子をよく観察し、「どの工程が苦手なのか」を見つけてあげることが大切です。
例えば、「逃げようとする」「噛んでくる」といったしぐさは、不快感のサインかもしれません。ワンちゃんの様子から「シャワーの温度が熱すぎるのかな」「スポンジの感触が嫌いなのかな」と察してあげられると良いでしょう。
そのうえで、嫌がる工程やアイテムは省き、ドライシャンプーや犬専用のウェットシートを使うなど、できる範囲で工夫をしてみてくださいね。

パピーの頃から水に慣れさせる

パピーの頃は体が小さく、シャンプーも短時間で終えられるので、心身への負担は成犬ほど大きくはありません。そのため、この時期からこまめに洗い、水の音や泡に慣れさせておくと良いでしょう。
もともとシャンプーは恐怖や痛みを伴うものではないので、小さいうちに「安心できるもの」と体で覚えれば、成犬になっても嫌がることは少なくなるはずです。

飼い主が「シャンプーしなきゃ!」と気負わない

ネットや本には「月に◯回はシャンプーを」「この手順が正解」といった情報があふれていますが、あまり頻度や方法にこだわりすぎると、飼い主さんの「きちんとやらなきゃ!」という緊張感がワンちゃんにも伝わってしまいます。その結果、シャンプーが苦手になってしまうことも。
愛犬が嫌がるときは、「今日は無理せず拭くだけにしよう」など、柔軟な選択肢を持つよう意識してみましょう。それによって、飼い主さんの気持ちにも余裕が生まれるはず。
冒頭でも述べたように、グルーミングは飼い主さんと愛犬の大切なコミュニケーションです。お互いがリラックスしながら進めることが、シャンプー嫌いを防ぐ一番のコツということを忘れないでくださいね。

愛犬に合ったシャンプー頻度で被毛の健康と美しさを維持しよう

犬のシャンプーは、月に1~2回が一つの目安です。ただし、適切な頻度はワンちゃんの性格や犬種、年齢、暮らし方によって変わるため、様子を見ながら調整してあげることが大切。
もしおうちで洗うのが難しいと感じるときは、無理せずトリミングサロンや動物病院を利用してみましょう。プロに任せれば安心ですし、愛犬に合ったケア方法やシャンプーのアドバイスをもらえることもあります。
ワンちゃんにとって負担の少ない方法で清潔と健康を保ち、快適な毎日を過ごせるようサポートしてあげてくださいね。

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