犬の爪切り方法|失敗しないコツと暴れる時の対処【トリマー監修】

犬の爪切りは、「なんだか怖い」「血が出そうで不安」と感じる飼い主さんが多いお手入れのひとつです。実際、犬の爪には血管が通っているため、やみくもに切ることはオススメできません。
しかし、犬の爪切りが初心者の飼い主さんでも、正しいやり方とコツを知っておけば、安全に進めやすくなります。
この記事では、現役トリマー監修のもと、犬の爪切りの必要性から適切な頻度、道具の選び方、切り方、出血時の対応まで、わかりやすく解説します。

この記事の監修者:星野伊織さん

trimmingsalon OLIOLI オーナー兼トリマー。
専門学校卒業後、国内のサロン・動物病院で経験を積み、オーストラリアとハワイで海外のトリミング技術を学ぶ。
GREEN DOG東京ミッドタウン店勤務を経て、2017年にOLIOLIをオープン。「家族と愛犬がHAPPYでいられますように」をコンセプトに、早く・可愛く・負担の少ないトリミングを大切にしている。

犬の爪切りが必要な理由とは?

犬の爪切りは、見た目を整えるためだけのことではありません。愛犬が無理なく歩き、足腰への負担を減らして健康的に暮らすために必要なお手入れです。
「散歩しているから自然に削れるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、室内で過ごす時間が長いワンちゃんや、土や芝生などやわらかい地面を歩くことが多いワンちゃんは、思ったほど爪が削れません。伸びたままにしていると、少しずつ足元に負担がたまってしまいます。

【理由】歩きづらさや足腰の負担の原因になる

犬の爪が伸びすぎると、床に当たりやすくなり、足先の角度が不自然になります。すると、踏ん張りにくくなったり、滑りやすくなったりして、歩き方のバランスが崩れやすくなります。
特にフローリングの上で暮らすワンちゃんは、爪が長いことで余計に滑りやすくなることがあります。小さな違和感でも、毎日の積み重ねで足先や足腰、関節に負担がかかるのは見逃せません。
つまり爪切りは、見た目を整えるだけでなく、愛犬の姿勢や歩行を守るための健康管理でもあります。

【理由】伸びた爪が肉球に食い込むことがある(巻き爪)

爪がかなり伸びると、カーブして内側に巻いていくことがあります。いわゆる巻き爪の状態です。巻き爪になると、肉球に爪が食い込み、痛みや炎症、出血の原因になることもあります。
ただし、初期の段階では見た目では気づきにくいケースも少なくありません。「なんとなく歩きたがらない」「足を気にして舐める」といったサインが出ることもあります。
だからこそ、定期的に爪の長さをチェックし、伸びすぎる前に対応することが大切です。

【理由③】飼い主や家具を傷つける恐れがある

長い爪は、抱っこしたときに飼い主の肌を引っかいたり、ソファや床を傷つけたりすることがあります。遊んでいるつもりでも、鋭い爪によって思わぬケガにつながることもあるでしょう。
ワンちゃん自身の健康を守るだけでなく、家族のケガや住まいの傷を防ぐためにも、爪切りは大切なお手入れです。

【目安】犬の爪切りの頻度はどれくらい?

犬の爪切りの頻度は、基本的には月に1回が目安です。初心者の飼い主さんは、まずこの頻度を基準に考えるとよいでしょう。
ただし、犬種や散歩量、歩く地面の状態、爪の伸びるスピードによって個体差があります。まずは「月に1回は爪の長さをチェックする」と決めておくと、伸びすぎを防ぎやすくなります。

基本は「月に1回」が目安

爪は少しずつ伸びるため、気づいたときには長くなっていることがあります。特に初心者の飼い主さんは「いつ切ればいいのかわからない」と迷いやすいため、まずは月に1回を目安にするとよいでしょう。
月に1回のペースなら、爪が伸びきる前に対応しやすく、愛犬も爪切りに慣れやすくなります。定期的に少しずつ整えるほうが、たくさん伸びてから一気に切るより安全です。

「カチャカチャ音」は爪切りのサイン

爪切りのタイミングの目安としてわかりやすいのが、歩いたときの音です。フローリングなどの硬い床を歩いたときに、爪が「カチャカチャ」と当たるようなら、そろそろ爪切りが必要な合図と考えられます。
ほかにも、立っているときに爪が床についている、抱っこしたときに爪がいつもより当たる、爪先が鋭く感じるといった変化もチェックポイントです。
初心者のうちは、完璧な長さを見極めるよりも、「伸びたサインに早めに気づく」ことを意識するほうが失敗しにくいでしょう。

散歩で削れにくい「狼爪(ろうそう)」は要注意

前足の内側にある狼爪(ろうそう)は、地面に触れにくいため、散歩をしていても自然には削れにくい傾向があります。そのため、ほかの爪はそれほど長くなくても、狼爪だけ伸びていることは珍しくありません。
放置すると巻きやすく、皮膚に当たってしまうこともあるため注意が必要です。爪切りの際は、狼爪も忘れずに確認しましょう。

初心者向け|犬用爪切りの選び方とあると安心なアイテム

犬の爪切りは、やり方だけでなく道具選びによってもやりやすさが変わります。初心者飼い主さんは、犬のサイズや爪の硬さに合った爪切りを選び、万が一に備えて止血剤なども準備しておくと安心です。
トリマーによると、小〜中型犬にはギロチンタイプ、大型犬や爪が硬いワンちゃんにはニッパータイプが向いているとされています。爪切り本体に加えて、止血剤やごほうび用のおやつがあると、落ち着いて進めやすいでしょう。

ギロチンタイプとニッパータイプ、初心者向きなのは?

小〜中型犬の初心者飼い主さんには、ギロチンタイプが扱いやすいでしょう。刃の穴に爪を入れて押し切る構造で、どの位置を切っているのか把握しやすいのがメリットです。特に小型犬や中型犬では使いやすい傾向があります。
一方、ニッパータイプは大型犬や爪が硬いワンちゃんに向いています。しっかり力をかけやすい反面、扱いに慣れるまでは切る位置や角度に注意が必要です。慣れてくると、切るときの衝撃や音が比較的少なく、ニッパーのほうが使いやすいと感じる人もいます。
迷ったときは、まず愛犬のサイズに合ったギロチンタイプから検討すると始めやすいでしょう。ただし、大型犬や硬い爪の犬では、ニッパータイプのほうが適している場合もあります。

爪切りを嫌がる子には「電動やすり」も選択肢

爪切りの「パチン」という音や感触が苦手な子には、電動やすりを使う方法もあります。少しずつ削って長さを調整できるため、いきなり切りすぎる心配が少ないのがメリットです。
ただし、電動やすりの音や振動を怖がるワンちゃんもいます。最初は本体を見せたり、音だけ聞かせたりしながら少しずつ慣らしていきましょう。いきなり足先に当てるのではなく、見せる、音を聞かせる、ご褒美をあげる、という流れで慣らすのがコツです。

深爪に備えて「止血剤」は準備しておくと安心

初心者がワンちゃんの爪を切るなら、ぜひ準備しておきたいのが止血剤です。止血剤は、爪切りで出血したときに止血を補助するためのアイテムです。
どれだけ注意していても、動いた拍子に深爪してしまう可能性はゼロではありません。そんなとき、止血剤があるだけでも落ち着いて対応しやすくなります。
あわせて、ガーゼとやすりも用意しておくと安心です。ガーゼは出血時の圧迫止血に使え、やすりは切った断面をなめらかに整えるのに役立ちます。道具をそろえてから始めるだけでも、不安はかなり軽くなるでしょう。なお、出血がなかなか止まらない場合は、無理をせず動物病院に相談してください。

初心者向け|犬の爪切りの手順とコツ

現役トリマー監修のもと、犬の爪切りの基本手順を4ステップで紹介します。失敗を防ぐポイントは、一気に切ろうとしないこと。少しずつ確認しながら進めることが大切です。

STEP1:足先をやさしく支えて爪を確認する

まずは愛犬の肘や膝を無理に伸ばさず、自然な角度のまま足を支えましょう。肉球を親指でやさしく押し出し、指全体を包むように持つと安定しやすくなります。爪だけを引っ張るように持つのはNGです。ワンちゃんが不安を感じて、足を引っ込めたり嫌がったりする原因になることがあります。
初めてのときはいきなり切ろうとせず、まずは足先に触る、次に肉球を軽く押す、最後に爪を1本見てみる、という順で慣らしていくのもオススメです。

STEP2:先端を少しずつカットする

最初のカットでは、いきなり深く切らないことが大切です。まずは先端を1〜2mmだけ切るイメージで進めましょう。刃は爪のカーブに沿うように当てると、割れにくく比較的きれいに切りやすくなります。角度は45度前後がひとつの目安ですが、爪の形に合わせて無理のない向きで当てれば問題ありません。
「まだいけるかも」と思っても、最初は控えめで十分です。特に初心者は、少し短く整えられただけでも成功と考えましょう。

STEP3:少しずつ形を整える

先端を切ったら、両サイドの角を少しずつ整えていきます。(画像内の赤い点線の箇所の角を落とす感じで整える)
丸みをつけるように、少し切っては確認する流れを繰り返すのがコツです。1回で理想の形にしようとすると、深爪や割れのリスクが高まります。
仕上げにやすりを使えば、爪の断面がなめらかになり、引っかかりも減らせます。

STEP4:断面を見てストップのタイミングを判断する

爪の断面は、切り進めるにつれて少しずつ変化します。見え方には個体差がありますが、白っぽく乾いた状態から中心部がややしっとり見えてきたら、血管が近づいている目安です。小さな黒点やピンク色が見えたら、その時点で止めましょう。黒い爪では判断しにくいこともあるため、迷ったら無理に切り進めないことが大切です。
また、横から見て肉球より前に出ている先端を整える、と考えるのも初心者にはわかりやすい目安です。短くしすぎるより、少し長めに残すほうが安全です。

白い爪・黒い爪で異なる見極めポイント

白い爪は血管が透けて見えやすいため、ピンク色が見える手前で止めやすいのが特徴です。断面の中央にピンク色が見えてきたら、止めどきの目安になります。
一方、黒い爪は血管が見えにくいため、少しずつ様子を見ながら切ることが大切です。断面の中央に灰色や黒っぽい芯のような部分が見えてきたら、血管が近づいているサイン。迷った場合はそれ以上切り進めず、やすりで少しずつ整えるほうが安全な場合もあります。

【原因別の対処法】愛犬が爪切りを嫌がる・暴れる時は?

愛犬が爪切りを嫌がるのは、わがままだからではありません。多くの場合、「慣れていない」「怖い」「以前に嫌な思いをした」などの理由があります。強く嫌がったり暴れたりする場合は、無理に続けず、いったん中断することも大切です。原因に合わせて対応を変えることで、少しずつ落ち着いて爪切りしやすくなります。

【原因①】足を触られることに慣れていない

足先や肉球は、ワンちゃんにとって敏感な部位です。普段あまり触られていない子は、爪切りそのものよりも、足を持たれること自体が苦手な場合があります。
そんなときは、いきなり爪を切ろうとせず、まずは足を触る練習から始めましょう。前足を1秒だけ触って褒め、おやつをあげます。慣れてきたら、肉球を軽く触って同じように褒める、という流れを繰り返します。
「今日は切らずに触るだけ」で終わっても問題ありません。触られることに慣れる積み重ねが、後の爪切りのしやすさにつながります。

【原因②】爪切りの音や振動が怖い

ギロチンタイプやニッパーの音、電動やすりの振動を怖がるワンちゃんもいます。そうした場合は、切る前に道具そのものに慣らすステップを入れることが大切です。
たとえば、まずは爪切りを見せるだけ、次に近くに置くだけ、さらに音を聞かせるだけ、というように段階を細かく分けます。そのたびにご褒美をあげることで、道具への苦手意識をやわらげやすくなります。
無理に一気に進めるより、少しずつ慣らしたほうが結果的にスムーズに進むこともあります。

【原因③】過去に痛い思いをしたトラウマがある

一度深爪で出血した経験があると、ワンちゃんが「また痛いことをされる」と覚えてしまうことがあります。その場合は、爪切りだけでなく、足を持たれたり保定されたりするだけで嫌がることもあります。
無理に続けると苦手意識がさらに強くなりやすいため、少し後戻りして慣らし直すことが大切です。爪切りまでは進めず、まずは触るだけで終える日をつくるのもよい方法です。ご褒美と組み合わせながら、少しずつよい印象を重ねていきましょう。
どうしても難しい場合は、トリミングサロンや動物病院に頼るのも立派な選択です。

もしも血が出てしまったら?慌てず行いたい止血対応

どれだけ注意していても、慣れないうちは爪切りで出血してしまうことがあります。大切なのは、慌てず落ち着いて対応することです。飼い主が落ち着いていると、愛犬も必要以上に不安になりにくくなります。まずは出血の様子を確認し、適切に止血を行いましょう。

止血剤の使い方

出血したら、まずは清潔なガーゼで患部をやさしく圧迫します。ペット用の止血剤がある場合は、製品の説明に従って出血している部分にしっかり押し当てましょう。基本は、落ち着いて圧迫を続けることです。
慌てて何度も様子を見ようとすると、かえって血が止まりにくくなることがあります。途中で何度も確認せず、しっかり押さえることを意識しましょう。出血がなかなか止まらない場合は、動物病院に相談しましょう。

止血剤がない場合の応急処置

止血剤がない場合も、まずは清潔なガーゼで圧迫止血を行います。ガーゼなどで患部をしっかり押さえ、途中で何度も離さず、数分ほどそのまま圧迫を続けましょう。
ここで注意したいのが、水で洗い流さないことです。水で流すと、固まりかけた血まで流れてしまい、かえって止まりにくくなることがあります。圧迫しても出血が続く場合は、動物病院に相談しましょう。

病院へ相談したほうがよい出血の目安

圧迫しても10分以上出血が止まらない場合は、動物病院に相談しましょう。また、深く切ってしまったと感じるときや、愛犬が強く痛がるとき、何度も出血を繰り返すときも受診を検討したいサインです。
心配なときに無理に様子見を続けるより、早めに獣医師へ相談したほうが安心につながります。

無理は禁物!プロ(トリミングサロン・病院)に頼るタイミング

ここまで犬の爪切りのやり方を紹介してきましたが、すべてを自宅で完璧にこなす必要はありません。難しいと感じたら、無理をせずトリミングサロンや動物病院に頼るのが安心です。
爪切りで大切なのは、安全に行うことと、愛犬との信頼関係を損なわないことです。無理をして嫌な思いをさせてしまう前に、プロの力を借りることも選択肢のひとつです。

1本だけ切る」から始めてもOK

初心者の飼い主さんがやりがちなのが、「今日は全部切らなきゃ」と考えてしまうことです。しかし、最初からすべての爪を切ろうとしなくてもかまいません。1本だけ、前足だけ、その日は狼爪だけといった進め方でも十分です。
少しずつ慣れていくことで、愛犬にも飼い主さんにも負担がかかりにくくなります。完璧を目指すより、無理なく続けることを意識したほうが、結果的にうまくいきます。

暴れて危険な場合は無理せずプロへ

噛もうとする、強く暴れる、体を押さえるとパニックになる――そんな場合は、自宅で無理に爪切りを続けるのは危険です。愛犬にも飼い主さんにもケガのリスクがあります。
トリミングサロンではワンちゃんの扱いに慣れたトリマーに相談できますし、動物病院なら健康状態も踏まえて対応を考えてもらえます。特に、黒い爪で血管が見えにくい子、シニア犬、持病がある子は、プロに任せたほうが安心な場面も少なくありません。
「うちの子には難しそう」と感じたら、無理を続ける前にトリミングサロンや動物病院へ相談してみましょう。爪切りだけに対応している施設もあり、定期的に利用することで愛犬の負担軽減につながることもあります。

無理なく続けることが、愛犬の爪切り成功のコツ

愛犬の爪切りは、初心者にとってハードルが高く感じやすいお手入れです。しかし、ポイントを押さえれば必要以上に怖がる必要はありません。
大切なのは、月1回を目安にこまめにチェックすること、愛犬に合った爪切りを選ぶこと、少しずつ切りながら断面を確認すること、そして止血剤などを準備しておくことです。
また、最初から完璧を目指す必要はありません。1本だけ切れたら十分で、最初は爪に触ることから始めても大丈夫です。愛犬との信頼関係を損なわないことを最優先にしながら、少しずつ慣れていきましょう。
それでも難しいと感じる場合や、黒い爪で不安がある場合、暴れて危険な場合は、無理をせずトリミングサロンや動物病院に相談するのがオススメです。
プロに任せることも、愛犬の健康を守る大切な選択肢のひとつです。愛犬に合った方法を見つけながら、無理のない爪切り習慣を続けていきましょう。

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